第16回目を迎える研究集会「生物数学の理論とその応用」が今年も京都大学数理解析研究所(RIMS)で開催されます。昨年度の代表者を務めさせて頂きました、九州大学の岩見真吾が今年度も引き続きお世話させて頂きます。昨年度は、登録して頂けた参加者だけで 116名に到達し、5日間を通した合計参加者数は 120 - 130名位になりました。また、シンポジウム、一般講演、特別講演合わせて、64個もの発表があり極めて活発な議論が行われました。今年度は “生命現象の定量的理解に向けて” いう大きなテーマを掲げ、「感染症・がん」「生態・進化」「細胞・免疫・遺伝子」「発生・パターン」「数理・数値解析」と曜日毎に違ったトピックスを網羅できる研究集会にしたいと思っています。 時代の流れ、社会の要請も相まって、現在、数理生物学を筆頭にした数理科学は最も注目されている研究分野の1つです。“世間に期待されている数理科学”は、数理モデル、コンピュータシミュレーション、統計解析が高度な次元で融合された数理モデル型あるいはデータ駆動型の定量的なデータ解析に資する数理科学です。しかし、生命現象を定量的に理解するためには、理論が中心となっている古典的な数理科学や大規模な生命科学データを解析する情報科学も同様に重要であり、クロスオーバーする研究分野が有機的に相互発展していく必要があります。これらの学問体系が達成されて初めて、シングルセル解析、ハイスループットスクリーニング解析、次世代シークエンス解析、マルチオミックス解析など、時代を象徴する最新技術との融合研究に到達できると考えています。現状、このような研究を推進できる数理科学・情報科学はまだまだ発展途上です。また、このようなデータセットをハンドリングするような数学理論が欠落している点は分野として取り組む必要があります。そこで、本研究集会が全く新しい新世代の数理科学をインキュベートする機会になれば良いと思い、精一杯企画させて頂きました。昨年同様、午前中にはシンポジウム、午後には一般講演に加えて特別講演を実施する、というスケジュールにしております。月曜日から金曜日の 5日間という長丁場ですが全日程参加する、あるいは、興味のあるテーマの曜日に絞って参加する、というように忙しい皆様でも気軽に参加できるように工夫したいと思います。
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第16回生物数学の理論とその応用-生命現象の定量的理解に向けて-
代表者:岩見 真吾 九州大学大学院理学研究院生物科学部門/数理生物学研究室 |